私たちは、一生でどれだけの空気を吸い込むのでしょうか?
さっそく見ていきましょう!
一生で呼吸する空気の量
あなたが今まさに吸っているこの空気、一体一生でどれくらいの量を吸うことになるのでしょうか?
その答えは、なんと約4億2048万リットルです!(※寿命を80歳として)
これは体重50kgの人が1日に約14,400リットルの空気を吸うと計算した場合の数値です。
- 1回の呼吸での空気量: 成人の肺は通常、1回の呼吸で約0.5リットルの空気を吸
- い込みます。
- 1分間の呼吸回数: 1分間に約12から20回呼吸します。(※静かに座っているときの数値。運動をしている時はもっと多くなります。)
- 1日の呼吸回数:平均的な成人は約28,800回呼吸する。(※24時間は1,440分×20回として)
これらの数値をもとに、1日にどれだけの空気を呼吸するか計算すると、約14,400リットルになります。
- 1日に吸う空気:14,400リットル=1回の呼吸で吸う空気:0.5リットル×1日の呼吸回数:28,800回
- 一生で吸う空気:420,480,000リットル=1日に吸う空気:14,400リットル×365日×寿命を80年として
【比較してみよう!】
- プール何杯分? 通常の25メートルプールの容量が約2,500,000リットルですから、一生で吸う空気は約168杯のプールに相当します!
- 飛行機の燃料タンク何回分? 大型ジェット機の燃料タンクが約200,000リットルを収容するとすると、一生で吸う空気は約2102回分の燃料を入れることができる量になります。
このように見ると、私たちが日々行っている「呼吸」という行為がいかに多量の空気を動かしているかがわかりますね。
呼吸とは、酸素を体内に取り込み二酸化炭素を排出する生命維持の過程です。
「呼吸」には空気の吸入、肺を構成する「肺胞」での酸素と二酸化炭素のガス交換、そして酸素の全身への運搬と使用が含まれます。
呼吸によって、細胞は必要なエネルギーを生成し、生体機能を維持します。
呼吸に欠かせない「肺胞」ってどんなところ?
酸素の取り込みと二酸化炭素の放出をしている「肺胞」について、少し詳しく見ていきます。
肺胞の構造
成人の肺には約3億から6億個の小さな空気の袋「肺胞」があります。
小さな空気の袋はぶどうの房のようにクラスター状に集まっており、とても薄い壁でできています。
肺胞は、それぞれが豆粒くらいの大きさなんだ。肺胞がたくさんが集まって、私たちの肺を構成しているんだよ。
肺胞でのガス交換
肺胞の働きによって体内に酸素を供給し、廃棄物を排出するガス交換のような役割を果たしています。
空気中の酸素は肺胞の壁を通って血液に入り、二酸化炭素は血液から肺胞へと移動して、息を吐くときに外へ出されるんだ。
肺胞をすべて広げてつなぎ合わせると、なんとテニスコート約2面分の大きさにもなるんだ!それだけの大きさがあるから、たくさんの酸素を取り込んで、たくさんの二酸化炭素を外に出すことができるんだね。
酸素以外は呼吸では使われない?空気の構成比
空気中の酸素は肺胞で血液に取り込まれ、全身に運ばれることは分かりましたが、酸素以外の空気の成分(窒素、アルゴン、二酸化炭素など)はどうなるのでしょうか?
空気の構成比
成分 | 割合(%) |
---|---|
窒素 (N2) | 78.09 |
酸素 (O2) | 20.95 |
アルゴン (Ar) | 0.93 |
二酸化炭素 (CO2) | 0.04 |
その他(ネオン、ヘリウム、メタンなど) | 0.01 |
窒素
空気の大部分を占める窒素ですが、私たちが普段の呼吸で使うことはほとんどありません。
肺胞で酸素が血液に取り込まれる間、窒素は肺の中に残り、息を吐くときに外に出されます。
アルゴン
空気中に少しだけ含まれるアルゴンも、窒素と同じように特に体内で反応することはありません。
呼吸をするときに吸い込まれて、吐くときにまた外に出されます。
二酸化炭素
空気中の二酸化炭素は私たちが呼吸するときに肺に入りますが、酸素とは違ってほとんどが体内に取り込まれずにまた外に出されます。
呼吸の科学: 空気の吸入からエネルギー生成まで
呼吸は生命を維持するためのエネルギーを生み出す働きです。
空気が体に入るところから、それがエネルギーに変わるまでを、段階ごとに説明します。
呼吸の総合的な流れ
- 吸入された空気(鼻/口 → 気管 → 肺胞)
- 酸素交換(肺胞 → 赤血球 → 全身の細胞)
- エネルギー生成(細胞内のグルコース反応 → ATP生産 ※ATPについては後述します)
日常的に行う呼吸一回一回で、このような化学反応が繰り返されています。
この科学反応によって活動に必要なエネルギーを得ています。
ステップ1: 空気の吸入と肺での酸素の取り込み
【空気の流れ】鼻、口 から吸い込む → 気管を通って肺胞へ到達 → 肺胞で酸素と二酸化炭素の交換
1.空気の吸入
空気は鼻か口を通って気管へと流れ、気管から肺の肺胞(小さな空気の袋)へ到達します。
2.酸素と二酸化炭素の交換
肺胞では、吸い込んだ空気中の酸素が血液中の赤血球に移され、体の細胞で使われた後の二酸化炭素が血液から肺胞へ移されて体外へ排出されます。
ステップ2: 酸素の体内輸送とエネルギー生成
1.酸素の全身への輸送
赤血球に取り込まれた酸素は心臓を経由して全身の細胞に運ばれます。
2.エネルギー生成の過程
細胞内で、酸素とグルコース(糖分の一種)が反応して、エネルギーが生産される過程が始まります。
-
- 解糖過程: グルコースが細胞質で分解され、ピルビン酸(生体において糖質・脂質・アミノ酸などの生合成、代謝に関与している物質)と少量のATP(エネルギー)が生成されます。
- クエン酸回路と酸化的リン酸化: ピルビン酸はミトコンドリアでさらに分解され、大量のATP(エネルギー)とともに最終的には水と二酸化炭素が生成されます。
ATPについて簡単に解説
ATPっていうのは、私たちの体で使われるエネルギーのことで、細胞が元気に動くために必要なパワー源なんだよ。具体的には、細胞が成長したり、分裂したり、筋肉が動いたりするときに使うエネルギーを提供してくれるんだ。
ATPは、体内で食べ物から得たグルコースとかを使って、特に「解糖過程」や「クエン酸回路」、「酸化的リン酸化」というステップを経て作られるんだ。これらの過程で酸素も使われるから、呼吸が大事になってくるわけ。
さらに、ATPは酵素をうまく動かして体の中の反応をコントロールしたり、体温を保つのにも役立つんだ。つまり、ATPがないと私たちの体はうまく動かないってこと。だから、すごく重要な役割を持ってるんだよ。
まとめ
今回の要点をまとめます。
- 人間は一生で約4億2048万リットルの空気を呼吸します。
- この量は、日常での呼吸により約168杯の25メートルプール分、または大型ジェット機の燃料タンク約2102回分に相当します。
- 成人は一回の呼吸で約0.5リットル、1日に約28,800回の呼吸を行います。
- 肺には約3億から6億個の肺胞があり、これらはガス交換の主要な場所です。
- 肺胞は酸素の吸収と二酸化炭素の排出を行い、これによりエネルギー生成が可能になります。
- 空気中の主な成分は窒素で、呼吸によって体内に取り込まれますが、ほとんどが反応せずに排出されます。
- 呼吸プロセスは、空気の吸入、肺胞でのガス交換、そして全身への酸素の運搬を含みます。
- ATPはエネルギー生成のために必要で、呼吸によって取り込まれた酸素はこのプロセスで重要な役割を果たします。