地震大国である日本では、「断層」という言葉をよく耳にしますが、その仕組みを詳しく知っている人は少ないかもしれません。
「断層」とは、地殻にひび割れができ、その両側がずれることで生じる線状の構造です。この動きが地震の原因となり、私たちの生活に大きな影響を与えます。
断層にはいくつか種類があり、それぞれが異なる地殻の動きによって発生します。今回は、断層の基本と、よく知られる3つの断層の種類についてわかりやすく解説していきます。
断層とは何か?
「断層」とは、地殻が押されたり引っ張られたりして壊れ、地面が互いにずれることでできる線状の構造のことです。
プレートの動きによって、地殻に力が加わると、地殻が耐えきれずに割れてしまい、断層が生まれます。この断層が、地震を引き起こす原因の一つなのです。
断層は小さなものであれば目立たないものもありますが、時には地震を引き起こす原因となることがあります。
地震は、断層が動くことで蓄えられたエネルギーが突然解放されることで起こるため、断層の存在は地震と非常に深い関係があります。
地震が発生する場所の多くは、断層が集中している地域です。日本はプレートが複数交わる場所に位置しているため、多くの断層が存在しており、地震が頻繁に起こる原因のひとつとなっています。
プレートたちは、ゆっくり動いてるけど、大きな力を持ってるんだね!
次に、断層にはどのような種類があるのかについて、詳しく見ていきましょう。
正断層とは?
「正断層」とは、地殻が引っ張られる力を受けてできる断層のことです。
簡単に言うと、地面が上下にずれる断層のうち、上側の地面が下にずれ落ちるような形で起こるものです。このような動きは、主に地殻が外側に引っ張られて伸びる地域で発生します。
例えば、山の斜面や谷などの地形が形成される要因の一つに、正断層があります。
このタイプの断層が動くと、土地が引き伸ばされ、上の部分が崩れ落ちる形でずれます。
この現象は、地殻が伸展している場所、特に山岳地帯や大陸の境界付近でよく見られます。
日本における正断層の例として、秋田県の森吉山断層帯や新潟県の東山断層帯などが挙げられます。
正断層は、地震が起こる際に発生する特徴的な断層の一つであり、地面が大きく動くために、地震の規模が大きくなることがあります。
山の斜面とか谷ができるのも、正断層のちからなんだね。
逆断層とは?
「逆断層」とは、正断層とは逆に、地殻が圧縮されることで生じる断層です。
この場合、地面が上下にずれる際に、上側の地面が押し上げられるようにしてずれます。
逆断層は、地殻が押し合って縮む力が働く地域で発生しやすく、その結果として、地形が持ち上げられることが特徴です。
逆断層は、山脈や高地の形成に大きく関与しています。特に、ヒマラヤ山脈などの大規模な山脈は、プレート同士がぶつかり合うことで発生する逆断層の動きによって生まれました。
このような場所では、プレートが衝突し続けることで、地面が長期にわたって上に押し上げられ、山や高地が形成されます。
ヒマラヤ山脈は、インド亜大陸とユーラシア大陸の衝突によって生じた地殻変動、特に逆断層や褶曲(しゅうきょく)によって形成されたんです。自然の力ってすごいですね。
日本においても、逆断層が見られる場所があります。
たとえば、北アルプス地域や東北地方の一部では、プレートの圧縮によって逆断層が形成されており、これらの地域は地震の発生地としても知られています。
逆断層による地震は、地面が強く押し上げられるため、周辺の建物やインフラに大きな影響を与えることがあります。
横ずれ断層とは?
※写真:根尾谷断層(ねおだにだんそう)
「横ずれ断層」とは、地面が上下ではなく、左右にずれるタイプの断層です。
この断層は、地殻が横方向に動く力、つまり水平に引っ張られる力や押される力によって形成されます。
地面の両側が異なる方向にずれるため、山や谷といった縦方向の地形変化はほとんど見られませんが、地面が水平に大きくずれることがあります。
横ずれ断層には、右横ずれ断層と左横ずれ断層の2つのタイプがあります。
右横ずれ断層では、断層の反対側が右方向にずれ、左横ずれ断層では反対側が左方向にずれます。
この動きは、プレート同士がすれ違う境界や、圧縮や引っ張り以外の力が働く場所で発生します。
有名な横ずれ断層の例として、アメリカのサンアンドレアス断層があります。
サンアンドレアス断層は、北米プレートと太平洋プレートの間で発生したもので、巨大地震を引き起こすことでも知られています。
日本でも、横ずれ断層は見られ、例えば伊豆半島や四国の一部では、プレートの横方向の動きによる横ずれ断層が確認されています。
このタイプの断層が動くと、地表に大きな裂け目が生じたり、道路や建物がズレたりすることがあります。
横ずれ断層による地震は、断層の長さや動きの速さによって被害が広範囲に及ぶことがあるため、特に都市部においては大きな危険を伴います。
横ずれ断層は、地面が水平に動くんだね。上下じゃなくて左右にズレるなんて、プレート同士の関係も複雑なんだなぁ。
「断層」と「地球の構造」
地球を大きなパズルに例えると、パズルのピース一つ一つが「地殻」、そしてパズル全体が「プレート」と言えます。
「プレート」は、まるでパズルのピースが少しずつズレるように、常にゆっくりと動いています。
このプレートの動きによって、地球の表面である「地殻」に大きな力がかかり、ひび割れが生じます。このひび割れが「断層」なのです。
「地殻」は卵の殻のようなもの、地球の表面を覆う薄い層です。一方、「プレート」は卵全体を包む膜のようなもので、地殻だけでなく、その下のマントルの一部も含んでいます。
プレートは、地球の内部からくる熱によって、ゆっくりと対流しながら動いているのです。
まとめ
断層とは、地殻が押されたり引っ張られたりする力でできる割れ目のことです。
そして、この断層の動きが地震を引き起こす主な原因の一つです。
断層には主に「正断層」、「逆断層」、「横ずれ断層」の3種類があり、それぞれが異なる力によって生じます。
- 正断層:地殻が引っ張られる力によって上側の地面が下にずれ落ちるタイプの断層で、地殻が伸展している場所でよく見られます。
- 逆断層:地殻が圧縮されることで上側の地面が押し上げられる断層で、主に山脈の形成に関与しています。
- 横ずれ断層:地面が左右にずれるタイプの断層で、プレートが横方向に動く場所で発生します。
これらの断層は地震の発生地として重要な役割を果たしています。