血液型で性格がわかるって本当?
日本や韓国では、よく「A型は几帳面、B型はマイペース」と言われますが、これに科学的な根拠はあるのでしょうか?
1916年に、日本ではじまった「血液型と性格の関連付け」の考え方は、日本人に浸透しています。
血液型性格診断の歴史を見ながら、科学的にはどう考えられているか、また、なぜ多くの人が信じているのかについて話していきます。
血液型性格診断は科学的根拠がない?
血液型性格診断は科学的根拠がなく、日本特有の文化現象です。
日本で広まった血液型に基づいて性格を判断する考えは、主に日本や韓国のような限られた地域で受け入れられています。
しかし、他の多くの国では血液型と性格を結びつける習慣は見られません。
1916年、原来復と小林栄という研究者が「血液の種類によって人の性格が異なるかもしれない」という考えを提案しました。
原来復と小林栄は「血液ノ類属的構造二就テ」というタイトルの論文を『医事新聞』に発表し、ABO式血液型が人々の気質(性格)にどのように影響するかについて議論しました。
これは、血液型と性格の関連について研究した最初の例とされています。
その後、1927年に日本の教育学者、古川竹二が「血液型による気質の研究」という論文を発表し、血液型によって人々の気質を分類することが可能だと主張しました。
この研究は当時、ある程度の注目を集めましたが、サンプル数が300人と少なく、調査方法にも問題があったため、統計的には信頼性が低いとされました。
科学的な裏付けはなく、多くの研究で有効な相関関係が確認されなかったため、学問的な観点からは支持されていません。
その後、1970年代後半に能見正比古という放送作家がこの理論を取り上げ、マスメディアを通じて広まったことで、一般にも知られるようになりました。
「インプリンティング」で血液型と性格の関連性が刷り込まれる
血液型と性格の関連に科学的根拠はありませんが、信じる人も多いのです。
これは「インプリンティング」と呼ばれる現象です。
「インプリンティング」は、社会や文化全体に影響を与える現象です。
血液型と性格の関連に関するアイデアが広まることで、多くの人々がこの考えを受け入れ、それに基づいて自分自身を考えたり、他人を判断したりするようになります。
これは、テレビや本、人々の話題などを通じて、社会全体に広がります。
特定の血液型が特定の性格を持っているとされると、人々は自分の行動が多くの人に浸透している先入観や思い込みに合うように無意識に調整してしまうことがあります。
血液型性格診断を受けた人は「バーナム効果」で自分に当てはめてしまう
血液型で性格が決まるという考えに根拠はなく、実際には人々が任意の性格特徴を自分に当てはめる「バーナム効果」という心理現象が作用しています。
「バーナム効果」って何?
「バーナム効果」とは、あいまいで一般的な記述が、まるで自分だけの特別なもののように感じられる心理現象です。
たとえば、「あなたは人から好かれやすいけど、時には寂しさを感じることもあるね」というような占いや性格診断の言葉を聞くと、多くの人は「それ、まさに私のこと!」と思うかもしれません。
でも、実際には、このような感情は多くの人が抱えている共通のものです。
私たちが自分自身のことにとても敏感なため、ぼんやりとした情報からでも個人的な意味を見つけやすくなっています。
だから、みんなが違う性格や経験を持っていても、広い範囲の人々が同じ言葉に強く共感することがあるのです。
バーナム効果は、特に占星術や心理テストでよく使われる方法で、人々がその情報に個人的なつながりを感じやすくなるよう工夫されています。
血液型にこだわるのは、日本人だけ?!
心理学者の山岡重行先生によれば、“ABO式”の血液型が発見されたのは1900年のこと。
それに伴いドイツの学者・デュンゲルン博士は、1910年に行った研究の中で世界中の人と動物の血液型を調べました。
するとヨーロッパではほとんどの人がA型とO型、対してアジアの方ではB型が多いと判明。
さらに動物は、チンパンジー以外ほぼB型ということも発見しました。
当時、この研究結果で「アジア人はヨーロッパ人より劣っている」と差別的な認識が広がっていきました。
集団や国民を指す概念として血液型を取り上げる傾向があったようです。
また、諸外国には、人種や宗教の違いなど人間を区別するための材料が数多くあります。
しかし日本では「人種」や「宗教の違い」などの分かりやすいカテゴリーがないため、「血液型で分類し、相手を理解したつもりになって安心したい」と、山岡先生は分析していました。
まとめ
血液型性格診断とは、人々が血液型によって性格が決まると考える日本特有の文化ですが、科学的な証拠はありません。
この考え方は、テレビや新聞などのメディアの影響で広まりました。
科学者たちは、血液型と性格の間にはっきりした関係がないことを研究で示しています。
「バーナム効果」という心理現象があります。
これは、ふわっとした一般的な性格の説明が、とても個人的に感じられるというものです。
「あなたは人から好かれやすいけど、時には寂しさを感じることもあるね」と言われると、多くの人が「それ、まさに私のこと!」と感じるかもしれません。
でも、これは実は多くの人が共感できるような言葉です。
つまり、血液型性格診断が当たると感じるのは、科学的な理由ではなく、人々がこのようなあいまいな説明に自分自身を当てはめてしまう心理作用によるものです。
血液型によって性格が決まるという考えは、実際は個人の心の中の作り話のようなものなんですね。
科学の観点から見ると、血液型性格診断はあてにならないので、もっと広い視点から人を理解するのが良さそうですね。