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なぜ音階はドレミファソラシドなのか?中世ヨーロッパのグイード・ダレッツォによる音楽教育革命

コラム

音楽を学ぶ際、最初に出会う基本的な要素が音階です。

特に「ドレミファソラシド」という音階は、多くの人が幼い頃から親しんでいるメロディーです。

なぜ「ドレミファソラシド」が用いられるのでしょうか?

この音階の名称と構造は中世ヨーロッパまで遡りますが、現代においてもその教育的および演奏上の重要性は変わっていません。

「ドレミファソラシド」は、11世紀のイタリアでグイード・ダレッツォという音楽教師によって広められました。

彼は聖歌を通じて音楽の基礎教育を行い、それが後の音楽理論の基礎となりました。

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音階「ドレミファソラシド」の起源:グイード・ダレッツォとソルフェージュ

賛美歌「Ut queant laxis」の各節の最初の音節を取って音階の名前を定めたことが、ソルフェージュ(音階の教育法)の基礎となりました。

11世紀のイタリアで活躍した音楽教師グイード・ダレッツォは、音楽を学ぶ方法をシンプルにするために、賛美歌「Ut queant laxis」の各節の最初の音節を使って音階の名前を定めました。

これが「Ut、Re、Mi、Fa、Sol、La」という音階名の始まりで、「ヘクサコードシステム」と呼ばれています。

なんかドレミファソラ…に近い感じ。

「ドレミファソラシド」への発展

17世紀にジョヴァンニ・バッティスタ・ドニによって「Ut」という名称は、より発声しやすい「Do」に変更されました。

さらに、18世紀には音楽の理論が発展し、七音階システムへと拡張する必要が出てきたため、「Si」が追加されたのです。

「Si」という音名が追加され、現代の七音階「Do、Re、Mi、Fa、Sol、La、Si」が完成しました。

ここで「ドレミファソラシ」になったのかぁ!

ソルフェージュ(音階の教育法)導入の目的

音楽の基礎をしっかりと理解し、曲のメロディーを正確に歌うための訓練を行うために「ソルフェージュ(音階の教育法)」が導入されました。

グイード・ダレッツォが広めた「ヘクサコードシステム」(Ut、Re、Mi、Fa、Sol、Laという音階名)は発展し、音楽の教育方法として長きにわたり利用されてきました。

例えば、「ド(Do)」はCの音、「レ(Re)」はDの音として使われ、このようにして全ての音階が特定の音節に関連付けられています。

このシステムは、音楽を学ぶ人々にとって非常に効果的なツールとなり、現代の音楽教育においてもその影響を見ることができます。

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日本の独自の音階

日本の音楽には、西洋の「ドレミファソラシド」とは異なる、独特の音階が存在します。

これは「ペンタトニック」と呼ばれる五音音階で、特定の音(通常は西洋音階の第4音と第7音)を省略したものです。

この音階は、日本の民謡や古典音楽でよく使われ、その独特の旋律が日本の音楽の特徴の一つとなっています。

ヨナ抜き音階

これは五音音階の一種で、特定の音(通常は西洋音階の第4音と第7音)を省略したものです。

この音階は、日本の民謡や古典音楽によく見られ、その独特の旋律が特徴です。

民謡音階

これもまたペンタトニックの一種で、日本各地の民謡に使用されています。

地域によって異なるバリエーションが存在することも特徴的です。

律音階

古代中国から伝わった音階で、雅楽などの古典音楽で用いられます。律音階は、和音の調和を重視した音階です。

都節音階

この音階は、都市部で発展した音楽、特に歌謡曲に関連する音階です。

明るく華やかな音楽表現に適しています。

琉球音階

沖縄県を中心とする琉球諸島の伝統音楽で用いられる音階で、独自の音楽文化を形成しています。

この音階も五音音階の一種ですが、特有のリズムとメロディが魅力です。

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そもそも音階とは何か?音楽への影響

音階の基本的な定義

音階とは、音楽で使われるいくつかの音を、低い音から高い音へと順番に並べたものです。

日常生活で例えるなら、階段を一段一段上るように、音階も音が低いものから高いものへと変わっていきます。

この順序立てられた音の並びが、音楽を作る時の基礎となります。

音楽を作る「材料」としての音階

音階は、音楽を作る時の「材料」のようなものです。

作曲家や演奏者は、この音階の中から特定の音を選んで、メロディーやハーモニー(いくつかの音を同時に鳴らすこと)を作ります。

どの音階を選ぶかによって、曲の雰囲気や感情表現が変わってきます。

音階と感情の関係

音階がどのようにして音楽に影響を与えるかというと、音階にはそれぞれ「感情」が込められています。

たとえば、明るく楽しい音階を使った曲は、聞いている人を幸せにすることが多いです。

逆に、少し暗い音階を使った曲は、切ない気持ちや深い思いを表現できます。

不協和音の役割

音楽が心地よく聞こえないと感じることもありますが、それには「不協和音」という特別な音の組み合わせが使われることがあります。

この不協和音は、曲に緊張感やドラマを加えたり、特別な効果を出すために意図的に使われます。

たとえば、映画のサウンドトラックで怖いシーンなどに使われることがあります。

不協和音の楽曲の例では、アーノルド・シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」があります。

「月に憑かれたピエロ」は、通常の和音のルールを逸脱した音の組み合わせが使われており、聴く人によっては非常に革新的で刺激的、または不快と感じられるかもしれません。

音階が生み出す世界

最後に、音階はただの音の並びではありません。

それぞれの音階が生み出すハーモニーとメロディーは、聞く人の心に影響を与え、文化や時代を超えて人々を繋げる力を持っています。

ですから、音階を学ぶことは、音楽だけでなく、人々の感情や文化についても学ぶことなのです。

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音階の起源と歴史的発展

古代ギリシャの音楽と数学

音階の歴史はとても古く、特に古代ギリシャ時代に大きな発展がありました。

ギリシャの哲学者ピタゴラスは、音が数学的な割合で作られることを発見しました。

彼は、ギターのような弦楽器の弦を短くすると音が高くなることから、音の高さと弦の長さの関係を数学的に説明しました。

この発見は、後の音楽理論の基礎となりました。

中世ヨーロッパの教会音楽

中世ヨーロッパでは、教会が音楽の中心となりました。

教会で使われる音階は「教会旋法」と呼ばれ、現代の音階とは少し違います。

これらの音階は、祈りや礼拝のために特別に作られたもので、特定の感情を表現するのに適していました。

バロック時代の調律法の革新

時代が進むにつれ、音楽はさらに複雑になりました。

特にバロック時代には、「平均律」という新しい調律法が導入されました。

平均律は、どんな鍵盤のキーでも均一に調和がとれるように調整されたシステムで、これにより作曲家はより多様な音楽を自由に作ることが可能になりました。

近代音楽への展開

近代に入ると、音楽の理論と技術はさらに進化しました。

音階や調律法の改善により、様々な音楽ジャンルが生まれ、世界中で新しい音楽のスタイルが開発されました。

これらの発展は、今日の音楽の多様性と豊かさを可能にしています。

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近代音楽と音階の体系化

音楽の形式と調律の進化

近代に入ると、音楽の形式や調律法に多くの革新が見られました。

特に「平均律」の導入は大きな変化をもたらしました。平均律は、オクターブを12の等しい半音に分割するシステムで、どの鍵盤(キー)でも調和良く演奏できるようになります。

これにより、作曲家たちは異なる調性で自由に作曲することが可能になり、音楽の表現の幅が大きく広がりました。

音階の国際的な標準化

19世紀になると、音楽の国際的な流通と共に、音階の標準化が進みました。

これにより、世界中の音楽家が同じ音階システムを使用することで、国際的なコラボレーションや音楽教育がより効率的に行われるようになりました。

音階の標準化は、楽譜の普及や音楽教育の方法論の確立にも貢献しました。

音楽理論の学術化

近代音楽教育では、音楽理論の学術化が進みました。

音楽学校や大学での音楽理論のカリキュラムが整備され、作曲技法や調律法など、音楽の体系的な学習が可能になりました。

これにより、音楽理論は単なる実践的な技術から、科学的な研究の対象としても扱われるようになりました。

現代音楽の多様性

音階と調律の体系化は、ジャズ、ポップ、クラシックなど、多様なジャンルの音楽に影響を与えています。

現代の音楽家たちは、これらの音楽理論を基に、創造的で革新的な音楽を作り出しています。

音階の理解が深まることで、より複雑で表現力豊かな音楽作品が生まれ、聴く人々に新たな音楽体験を提供しています。

最後に、音階と数学のちょっとおもしろい関係について紹介します。

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音階と数学の関係性

音階と数学との関連は、初めは直感的にはわかりにくいかもしれませんが、実際には非常に深い関係があります。

音楽の基本的な構造、特に音階の構築は、数学的原理に基づいています。

以下にその関連性を簡単に説明します。

周波数の数学的な関係

音楽の音階において、各音の周波数は非常に厳密な数学的比率で決まっています。

例えば、12平均律における各音は、前の音と約1.059倍(具体的には\( \sqrt[12]{2} \))の周波数の比率を持っています。

これにより、一定のパターンで音高が増加し、一オクターブ上がると周波数が2倍になるという数学的な規則性が保たれます。

調和と音の関係

音楽の調和、つまり複数の音が一緒に鳴るときに「心地よく」聞こえる現象も、数学的な比率に基づいています。

例えば、完全五度の間隔は周波数比が3:2、完全四度は4:3といった具体的な数値で表されます。

これらの比率が調和の感覚を生み出し、曲の中で特定の感情や雰囲気を引き出すのです。

音楽理論と数学

音楽理論の多くの側面は、数学的な概念を使用して説明されます。

音階、和音、リズムなど、音楽の構成要素はすべて数学的な背景を持ち、これらの理解には数学的な思考が役立ちます。

このようなことから、音階と数学は実際には密接な関係を持っていると言えます。

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