サシバってどんな鳥?

空を大きく舞いながら優雅に飛ぶ鳥、サシバ。日本では春や秋になると、その美しい姿を見ることができます。でも、今では「絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)」とされ、その数が減ってきています。
サシバは、渡り鳥と呼ばれる鳥の仲間です。春には日本にやってきて、田んぼや里山で子育てをします。そして秋になると、暖かい南の国に向かって長い旅に出ます。
このように季節によって住む場所を変えるのが、サシバの大きな特徴です。
そんなサシバですが、実は環境の変化や人間の影響で、今とても生きづらくなっています。
どうしてそんなことになったのか?
そして、私たちにできることは何か?このブログでは、サシバのことを詳しく知りながら、一緒に考えていきたいと思います。

自然が好きな人も、渡り鳥に興味がある人も、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!サシバの世界がもっと身近に感じられるはずです。
サシバとは?
サシバは、茶色っぽい羽を持つタカの仲間で、大きな翼を広げて空をゆっくりと飛ぶのが特徴です。春には日本にやってきて、秋には暖かい国へ旅立つ渡り鳥です。
- タカ科
- 学名:「Butastur indicus」(ブタストゥル・インディクス)
- 日本語:「サシバ」
- 英語:「Grey-faced Buzzard」
サシバの基本情報
- 体長: 約45~50cmで、大きさはハトとカラスの中間くらい。
- 翼を広げた長さ: 100~120cmとかなり大きく、空をゆったりと飛ぶ姿が特徴的です。
- 体の色: 背中は茶色、胸の部分には細かい横縞模様があります。また、顔は灰色がかっているため「Grey-faced」という名前がついています。
サシバの名前の由来
「サシバ」という名前は、「差し羽」という言葉からきていると言われています。これは、飛んでいるときに見える羽の模様や形が特徴的で、それが名前に反映されているのです。
サシバにはどんな特徴があるの?
サシバは空高く舞い上がり、風に乗るようにして飛ぶ「ソアリング」が得意です。この飛び方はタカ科の鳥に共通する特徴で、遠くからでも簡単に見つけることができます。
さらに、サシバは季節によって日本と東南アジアを行き来する渡り鳥です。春になると日本に戻り、秋には暖かい地域へ旅立ちます。この行動が観察されるのも、サシバが愛される理由のひとつです。
サシバの鳴き声は?
サシバは甲高い美しい声で鳴きます。
サシバの生態と習性
サシバはどこに住んでいるの?
サシバは、日本国内では主に本州、四国、九州などの山間部や里山で見られる鳥です。
特に、田んぼや畑が広がる農村地帯に多く生息しています。
日本以外では、中国や韓国、東南アジアなどにも分布しており、冬の間は暖かい地域(フィリピンやインドネシアなど)で過ごします。
サシバは何を食べるの?
サシバの主な食べ物は、小さな動物や昆虫です。例えば:
- ネズミやモグラ: 地面を走り回る小さな哺乳類を狩ります。
- ヘビやカエル: 山間部や水辺でこれらの獲物を見つけます。
- バッタやトンボ: 秋には昆虫が豊富になるため、特にこれらを多く食べます。
サシバは高いところから獲物を見つけ、急降下して捕まえるのが得意です。その鋭い目は遠くの獲物も逃しません。

「サシバのお食事」の動画です↓
サシバはどんな生活をしているの?
春になるとサシバは繁殖地に戻り、ペアを作ります。
オスとメスは協力して木の上に巣を作り、通常2~3個の卵を産みます。
約1か月でヒナが孵化し、その後親鳥がせっせとエサを運びながら子育てをします。
ヒナは約40~50日で飛べるようになりますが、親鳥に守られながら成長します。
サシバに天敵はいるの?
自然界では、カラスや猛禽類(他のタカやフクロウなど)がサシバの卵やヒナを狙うことがあります。
また、人間の活動による環境破壊や農薬の使用も、サシバにとっての脅威となっています。
渡り鳥としてのサシバ
サシバは、春と秋にたくさんの仲間と一緒に遠くへ旅をする渡り鳥です。
この旅は、食べ物がたくさんある場所で快適に暮らし、子育てや冬を越すために行われます。
サシバが空を舞いながら移動する姿は、自然の中で見られる特別な光景のひとつです。
渡りの基本情報
- 春の渡り: 3月~5月
サシバは日本や中国、韓国などの北東アジアへ向かい、繁殖地でペアを形成し子育てを行います。 - 秋の渡り: 9月~10月
繁殖を終えたサシバは、東南アジア(フィリピン、インドネシアなど)の暖かい地域に向かいます。 - 渡りの特徴:
サシバは日中、上昇気流を利用して高く舞い上がりながら移動します。このとき、群れを成して飛ぶ姿は「タカ柱」と呼ばれ、観察の見どころとなります。
主な観察地と特徴
千葉県 房総半島
- 特徴: 渡りの中継地。春と秋に多くの個体が通過し、観察のチャンスが豊富です。
- 主なスポット:
- 富津岬: 渡りの北上・南下両方でサシバが観察可能。
- 鋸山: 丘陵地帯の風を利用して飛ぶサシバを見ることができます。
- 養老渓谷: 渓谷に休息する姿を観察可能。
長野県 木島平村
- 特徴: サシバの繁殖地として重要な場所。春と秋の渡りの際に多くの個体が立ち寄ります。特に、内山集落周辺では営巣や子育ての様子も観察できます。
- 地域活動: 地元では保護活動や観察イベントが行われています。クラフトビール「KIJIMA米米Ale」など地域特産品にもサシバがモチーフとして採用されています。
鹿児島県 薩摩川内市(出水平野)
- 特徴: 秋の南下時期には、数百羽規模のサシバが集まることで知られる渡りの中継地です。
- 見どころ: タカ柱を形成する群れの飛行が見られ、圧巻の光景が広がります。
鹿児島県 奄美大島
- 特徴: 渡りの中継地であると同時に、国内最大級の越冬地の一つ。越冬期(冬の間)にはサシバが農地や森林で狩りをする姿を観察できます。
- 見どころ: 秋には渡り途中で休息する大群を見ることができ、冬には越冬中の個体の生活を間近で観察することができます。
サシバの渡りに関する豆知識
- タカ柱: 上昇気流を利用して渦を巻くように飛ぶ群れの姿。サシバの渡りを象徴する光景の一つです。
サシバ観察時の注意点
サシバの渡りは自然環境に依存しているため、観察地の環境保護や配慮が重要です。
また、渡りのタイミングは天候や気候条件によって変動することがあるため、事前に地元の自然保護団体や観察ガイドから最新情報を確認することをお勧めします。
絶滅危惧種としての現状
サシバは、昔は日本の田んぼや森でよく見られる鳥でした。
しかし、今ではその数が大きく減ってしまい、「絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)」に指定されています。
環境省のレッドリストでは、サシバは「絶滅危惧II類」とされています。

「絶滅危惧II類」とは、「今のままだと将来いなくなってしまうかもしれない」ということを意味します。
サシバの数が減っている理由
1.住む場所がなくなった
田んぼや畑、里山といったサシバが好きな場所が、都市(まち)になったり、森が切られたりして少なくなっています。
2.農薬の影響
サシバはバッタやカエルなどを食べて生きていますが、農薬が使われるとこうした生き物が減ってしまいます。それによってサシバの食べ物が少なくなっています。
3.ぶつかってしまう事故
サシバが飛ぶ途中で電線や風力発電の風車にぶつかり、命を落とすことがあります。これらの施設はサシバの渡りのルートに多くあります。
4.気候変動
地球の気温が変わることで、サシバが渡りやすい時期や場所が変わってしまっています。これも生きていくのを難しくしています。
サシバを守るための活動
1.住む場所を守る
サシバが住みやすい森や田んぼを保護区にして、開発されないようにする取り組みが行われています。たとえば、長野県の木島平村や鹿児島県の奄美大島では、地元の人たちが協力してサシバを守る活動をしています。
2.みんなに知ってもらう
自然保護団体や地域の人たちは、サシバについて知ってもらうために観察会や勉強会を開いています。サシバが飛ぶ姿を見て、その大切さを感じてもらうことが目的です。
3.データを集める
サシバがどのルートを通るのか、どれくらいの数がいるのかを調べています。このデータを使って、もっと良い保護方法を考えています。
4.農薬を減らす努力
農薬をあまり使わない農業を広めることで、サシバが安心して食べ物を見つけられる環境を作ろうとしています。
サシバを守るためにまだ必要なこと
- 広い範囲での協力: サシバは日本だけでなく、アジア全体を飛び回る渡り鳥です。日本だけでなく、中国やフィリピンなどの国々とも協力して守る必要があります。
- 自然と共に生きる方法: サシバが暮らしやすい自然を残すためには、環境を壊さずに人が生活できる方法をもっと考える必要があります。
- サシバを知ってもらう: サシバのことをもっと多くの人に知ってもらうことで、みんなが「守らなきゃ」と思えるようになることが大切です。
サシバは、空を優雅に飛ぶ美しい鳥です。

でも、このままだと私たちの生活の中からいなくなってしまうかもしれません。サシバを守るために、私たち一人ひとりが何ができるか考えることが大切です。
まずは、サシバのことをもっと知るところから始めてみましょう!