現在、日本の里山で暮らす鳥やチョウが急激に減少しているという問題が広く報じられています。
かつては身近に見られた私たち「スズメ」が急速に減少しており、減少が続けば絶滅危惧種に指定される可能性があるとされています。
私たち「スズメ」は年3・6%のペースで減少しているそうです。
この問題はスズメだけでなく、里山に生息する多くの鳥やチョウにも広がっており、生態系全体に深刻な影響を与えています。
里山の環境変化、気候変動、外来種の増加など、さまざまな要因が重なり、これらの生物の減少が進んでいます。
本記事では、鳥やチョウが減少する本当の原因を探り、私たちが未来を守るためにできる具体的な行動について考えていきます。
スズメの減少の原因
スズメの減少は、多くの要因が複合的に絡み合っています。
特に都市化や農業の変化が大きな要因とされており、これによりスズメが繁殖や餌を確保するための環境が悪化しています。
農村部の減少や農地の放棄により、スズメの餌場が減少し、生息数に影響を及ぼしています。
また、近年の気候変動も生態系に影響を与えています。
里山に生息する鳥やチョウも、スズメと同様に個体数が大幅に減少しています。
環境省のレッドリストには、多くの蝶が絶滅危惧種として掲載されています。例えば、
- ギフチョウ: 春の訪れを告げる美しい蝶ですが、生息地の減少と乱獲により数が減っています。
- オオムラサキ: 日本の国蝶ですが、広葉樹の減少や森林の分断化により、その数は減少傾向にあります。
- ゼフィルス: スギやヒノキの単一林化などにより、幼虫の食樹となる広葉樹が減少しているため、多くの種が減少しています。
オオムラサキの減少率は年10・4%だそうです。
この背景には、里山の管理不足や、開発による生息地の減少が大きく関与しています。
この問題に対処するためには、個人の行動と社会的な取り組みが重要です。
例えば、里山保全活動に参加したり、身近な自然環境を守るための取り組みを行うことが、これらの生物の減少を食い止めるための一歩となります。
里山の鳥やチョウが急速に減少する原因
里山に生息する鳥やチョウの個体数が急激に減少しているという現象は、日本全体で深刻化しています。
調査によると、特に気候変動や里山の管理不足が大きな要因とされています。
気候変動の影響
日本の年平均気温は、ここ数十年間で上昇しており、この気温の変動が里山の生態系に悪影響を与えています。
このように、気候の変化が生物の多様性に深刻な打撃を与えており、これが里山の生態系全体に影響を及ぼしています。
管理放棄と外来種の問題
里山の多くは、人口減少や高齢化による管理放棄が進んでおり、この管理不足が鳥やチョウの生息環境をさらに悪化させています。
例えば、繁殖期に開けた環境と森林を必要とする鳥類は、こうした管理不足により生息地を失い、個体数が減少しています。
また、外来種であるアライグマや、個体数が増加しているイノシシの影響も、生態系にさらなる負荷をかけており、これが在来種の減少に拍車をかけているのです。
市民活動と保全の取り組み
一方で、市民による保全活動も増加しており、特に水田や草原の管理に取り組むボランティア活動が成果を挙げています。
これらの活動は地域社会と連携して行われており、希少種の保護や生息地の回復に貢献しています。
しかし、資金や支援の不足が課題となっており、保全活動を持続的に行うためには、行政の助成金の拡充や地域間での情報共有が不可欠です。
保全活動の重要性と未来への展望
鳥やチョウの急減を防ぐためには、個々の努力だけでなく、地域社会や行政の協力が欠かせません。
幸い、全国各地で市民による保全活動が増えており、特に里山の保全に向けた取り組みが成果を上げています。
ボランティアによる水田や草原の管理活動、外来種の駆除など、具体的な活動が多くの地域で行われており、その結果、地域の生物多様性が改善されつつあります。
これらの活動は、行政やNGOと連携することで効果を発揮しており、「モニタリングサイト1000」などの調査データを基に、生態系の変化を捉えた政策立案も進められています。
(参考URL:モニタリングサイト1000)
こうした科学的データは、「生物多様性国家戦略」などの政策に反映され、生物多様性の回復に役立っています。
一方で、保全活動を継続的に行うための資金や支援が不足している現実もあり、これを補うためには政府や企業からの助成金や資金援助が必要です。
将来的には、これらの資金支援を拡充し、持続可能な形で自然保護活動が進むことが求められます
生物多様性保全の未来と私たちができること
鳥やチョウの減少を食い止めるためには、単なる保全活動にとどまらず、政策レベルでの支援や科学的なデータに基づいた対策が不可欠です。
幸いなことに、近年のモニタリングサイトなどの調査データは、生物多様性国家戦略2023-2030に組み込まれており、これが政策立案に役立っています
(参考URL:日本自然保護協会オフィシャルサイト)。
このように、データに基づく施策が進められていますが、地域レベルでの持続可能な保全活動も引き続き重要です。
また、私たち個人でも、例えば環境に優しい農産物や森林管理認証を受けた製品を選ぶことなどで、生物多様性の保護に貢献できます
(参考URL:Canon Global)。
具体的には、野鳥やチョウの生息地に影響を与えない製品を選ぶことがその一例です。
さらに、地域で行われている保全活動に参加することで、未来の自然環境を守る手助けができます。
気候変動や開発の影響はますます深刻になっており、それに応じた迅速かつ広範な対策が求められます。
しかし、国際的な協力とともに、個々人の行動の積み重ねが大きな変化をもたらす可能性も十分にあります。
まとめ
現在の生物多様性の危機は、単なる生態系の問題にとどまらず、人類の健康や生活そのものに深く関わっています。
例えば、医薬品の多くは自然からの恩恵によって成り立っており、また湿地や森林が私たちに清潔な水や空気を提供する重要な役割を果たしています。
(参考URL:WWFジャパン)
(参考URL:IDEAS FOR GOOD Business Design Lab)
しかし、現在のままでは、2050年までにさらなる多くの種が絶滅の危機に直面する可能性があり、この問題に対処するためには、国際的な協力と地域レベルでの行動が欠かせません。
COP15などの国際会議では、2030年までに生物多様性の損失を止めるための行動計画が採択されており、この動きに対応するために、日本を含む世界中で政策が進められています。
(参考URL:JIRCAS)
(参考URL:World Bank)
私たち一人ひとりができることは、環境に配慮した製品を選んだり、地域の保全活動に参加するなど、小さな一歩かもしれませんが、それが大きな変化につながる可能性があります。
未来の世代に豊かな自然を残すために、持続可能な社会を目指して共に行動を起こすことが求められています。