花の世界は色彩で溢れていますが、その鮮やかな色はどのようにして生まれるのでしょうか?
この記事では、花の色が変わる理由と、花の色を決める色素について探ります。
秋の紅葉と同じく、花の色が変わるのには科学的な理由があります。
土壌のpH値が赤から青へ色を変えるアジサイ、温度変化で色合いを変えるパンジーなど…。あなたの庭や身近な自然が、新たな目で見えてくるかもしれませんよ!
花の色が変わる理由6つ
花の色が変わる理由は、さまざまな要因が絡み合って起こる複雑な現象です。
特に、紫や青の色をつけるアントシアニンや、黄色や赤の色をつけるカロテノイドといった色素が大きな役割を果たしています。
これらの色素は、花の色の変化を引き起こします。
1.土壌の影響で変わる花の色
アジサイは土壌のpH値によって色が赤から青へと変わることで知られています。酸性の土ですと青色になります。
日本では青いアジサイがよく見られますが、実はアジサイは元々ピンクなんです。
日本は火山が多く、酸性の土が多いのです。
アジサイに含まれるアントシアニンという色素が土中のアルミニウムと反応して、ピンクから青に色が変わります。
アルカリ性の土壌ではアルミニウムが溶けにくいため赤っぽい色になりますが、日本の酸性土壌ではアルミニウムが溶けやすく、その結果青い花が咲きます。
リン酸を多く含む土壌では、アルミニウムの溶出が抑制されるため、アジサイが鮮やかな青色にならないことがあります。そのため、植物が本来の美しい色を見せるためには、適切な土や肥料の選択が重要です。
ただし、すべてのアジサイが土壌のpH値に影響されて色が変わるわけではありません。
- 白いアジサイや、色が固定されている特定の品種
- アントシアニンが無いアジサイ
これらは、土壌の影響を受けず、花の色が変わらないのです。
2.温度変化による花の色の変化
パンジーやビオラのように、温度に敏感な花は、途中から色から変化することがあります。パンジーやビオラの花は、寒くなるほど赤色系の色合いを強める傾向にあります。
木の葉が変色するのも、温度が下がることで葉緑素の量が減り、アントシアニンやカロテノイドの色が現れるためです。
.3.紫外線による花色の変化
太陽光の強さや紫外線の量、太陽にさらされる時間によって花の色が変化する植物もあります。
4.肥料による花色の変化
肥料を適切に使うことで、花や葉の色がより鮮やかになります。花の色が薄かったり葉が黄ばんでいる場合、肥料不足が原因かもしれません。
5.成熟による花色の変化
バラなどの花は、開花が進むにつれて色が変わることがあります。
これはアントシアニンの合成が進むことで赤みが増すからです。
また、開花中にアントシアニンが分解されて青から白へと色が変わる花もあります。
アジサイの色が秋に変わるのも、成熟によるものです。季節ごとに花は深みのある色を見せるようになります。
6.遺伝的変化による色の変化
時には、突然の変異が新しい花色や葉色を生み出し、それが特定の品種の特徴として定着することがあります。
これらの品種は「枝変わり品種」と呼ばれ、多様な色彩を植物界にもたらしています。
果物にも「枝変わり」から生まれた品種がありますよ。
花の色を形成する色素の種類
花の色は、白色系、黄色系、赤色系、紫と青色系、その他の色です。
多様な花の色彩があるのは、それぞれの花に固有の色素成分が存在しているからです。
ときには、同じ植物の中で異なる色の花が咲く「枝変わり」という現象が起こり、これは色素を生成する遺伝子の変異によるものです。
白色の花を生み出す色素
白色の花は、白い色素があるわけではありません。
「フラボン」や「フラボノール」という無色、または淡黄色の色素によって白く見えます。
「フラボン」や「フラボノール」は、キクやカーネーション、バラなどの白い花に含まれています。
お花が透明や淡い黄色に見えないのは、何故なんでしょう?
「フラボン」や「フラボノール」という無色、または淡黄色の色素を含む花が白く見えるのは、「花びらが無数の空気の小泡を含んでいるため」で、光が当たると「無数の空気の小泡」が「白く反射」します。
黄色の花を生み出す色素
黄色の花は、「フラボン類」や「カロチン類」の色素によってその色が生み出されます。
フラボン類による鮮やかな黄色は、ナデシコやツツジなどに見られます。
カロチン類の影響で黄色くなる花にはチューリップやユリがあります。
キンセンカやマリーゴールドのように、フラボン類とカロチン類が混ざり合って色を形成することもあります。
秋に紅葉するモミジやイチョウ葉にも、カロチン類が含まれています。
カロチン類はカボチャやニンジンにも含まれています。ビタミンAの生成に関わっています。
赤、ピンク、紫、青色の花を生み出す色素
「アントシアニン類」は赤、ピンク、紫、青色の花に含まれる色素です。
酸性やアルカリ性の条件、他の物質との結合によって色が変わります。
【アントシアニン類による花の色の例】
- サルビアやヤグルマソウの赤
- ケシやコスモスの紅色
- シクラメンの紫色
- キキョウの青色
「アントシアニン類」は、酸性で赤色、中性で紫色、アルカリ性で青色を示します。
アジサイの花色が土壌の性質によって変わるのもよく知られており、酸性土壌では青色、アルカリ性土壌ではピンク色の花が咲きます。
酸性土壌でアルミニウムが溶け出し、アジサイのアントシアニンと結びついて青色になると考えられていますが、その詳細なメカニズムはまだ完全には解明されていません。
【まとめ】花の色が変わる理由
アジサイやパンジーのように、土壌のpH値や温度変化によって色が変わる現象から、肥料や成熟、遺伝的変異に至るまで、多岐にわたる要因が花の色を形成しています。
花の色を決める主要な色素には、アントシアニンやカロテノイドがあります。色素によって花が赤、青、黄色など様々な色に見えます。
花の色が違うのには、科学的な原理が隠されているんですね。